生物規範型羽ばたきロボットの研究について

前のページでも述べましたように、比較的低速で飛翔する小型のロボットではレイノルズ数が小さい(10^2〜10^3)ので,大型の鳥のような滑空方式ではなく小型の鳥や昆虫のような羽ばたき方式が有効となります.ヘリコプタ方式も考えられますが,急発進・急停止・急旋回など羽ばたき方式の方が優れている点もあるので,羽ばたきロボット註1】の開発を始めました.

 2008年度は,市販の「メカトンボ」というラジコン玩具に小型計算機,角速度・加速度・光センサなどを搭載し,胴体ピッチ角の制御やLEDのトラッキング制御を行いました.

 2009-2010年度は、羽ばたきロボットの自立化を図り、また、有線ではありますが飛翔速度、高度、胴体ピッチ角・ヨー角を計測可能な装置を開発し、羽ばたき周波数を変えることで、胴体ピッチ角や飛翔高度を目標値まわりで安定化させる制御を実現しています。また、ハチなどの昆虫は偏光コンパス註2】を利用して巣とエサ場の間の誘導を行なっていることが知られています。偏光コンパスを自作し車輪型ロボットに搭載して、屋外での自律誘導(ナビゲーション)の実験を行なっています。

 2010年度から羽ばたきロボットが専門の東(ヒガシ)先生が研究室に赴任されたので、今後,東先生や学生と一緒に、生物学を勉強し流体力学を再勉強しながら、新たな機構設計、制御手法、誘導手法を考えて行く予定です.

註1】まだ本物のトンボやハチとはかなり異なる羽ばたき方式ではありますが。

註2】複数の偏光センサを用いて太陽光の偏光の強度を測ることにより、自分から見た太陽の方角を知ることができる。